庭/石瀬琳々
青い
夜明けのような苧環(おだまき)の花を行き交い
小さな蜂が羽を震わせている
光は飴色に輪を広げ
触れるたびに緑の葉は揺れ動く
あいさつのように かすかにそっと
小ぎれいな窓に人影が見える
カーテンを開け放ち
じっと窓の外を見ている
緑の
両手を差し出し秋楡(あきにれ)は風を呼ぶ
真新しい若い葉は木陰を作り
その枝にぶらさがる古びたぶらんこ
誰かを待っているのかのようにかしいでいる
夢を見ているのか それとも風に
その瞳は一点を見つめている
唇を小さく結び
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