ノート(夜野原)/
木立 悟
あちこちに月がひそむ夜
銀を一粒ずつ踏みしめて
雲をあおぎ歩みゆくひと
月の手は風
月の火は雨
ただなごむ
死のように
いのるひと いるりひと
いるりひと いのるひと
神ののぞみは
野の溝にのみ
人ののぞみは
人のみぞ知る
ぽかりと暗い言葉狩り
ぽかりと暗い事ばかり
野を歩み去るひとの音
届かない痛みに照らされて
夜の手首は筒のように
月へのばされ 震えている
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