グリーンピースミートゲティ/カンチェルスキス
 
深夜だった。深夜の学校の教室で、一人で笛の練習をする男の姿ってのは、絶頂から転げ落ちたスターが地方都市のスーパーの前でビールケースを積み重ねた舞台に立って昔のヒット曲を歌うようなものだ。しかし、何だ、この喩えはえらく古めかしい気がする。みかん箱と言ったほうが新しいかもしれない。まあ、とにかく、そのようにして、おれの青春は過ぎていって、気づけば誰も寄りつかず、女が団子になって寄ってくることもなく、電信柱に貼ってあるバイアグラのチラシを見て、「おれには逆バイアグラが必要なんだ」と水羊羹を竹筒から押し出すようにつぶやくだけだった。たまに杏仁豆腐に手を入れたりしてる。信号に停まったトラックの荷台に飛び乗っ
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