帰りたい場所/黒子 恭
 
ああ この
生まれてくるもの

帰りたかった場所
だったのか。
 
日々が、やはらかく、
差し込んでいる
隣に笑顔が、ある
ここで 揺られて
羊水を思い出す
 
胎内に鼓動
一つ、二つ 刻んだ
いのち は、
今、回帰してゆく
 
ああ この
あふれてくるもの

帰りたかった場所
だったのか。
 
こんなにも
私は包まれていた
三点倒立する、ビルの隙間に
優しさが残らないのは
あの場所に
置いていたから
 
還ったら、そおっと
拾いにいくよ。
 
ほら おとな から
こども になって
あかんぼう になって
かあさん へ還る、
[次のページ]
戻る   Point(7)