帰りたい場所/黒子 恭
ああ この
生まれてくるもの
が
帰りたかった場所
だったのか。
日々が、やはらかく、
差し込んでいる
隣に笑顔が、ある
ここで 揺られて
羊水を思い出す
胎内に鼓動
一つ、二つ 刻んだ
いのち は、
今、回帰してゆく
ああ この
あふれてくるもの
が
帰りたかった場所
だったのか。
こんなにも
私は包まれていた
三点倒立する、ビルの隙間に
優しさが残らないのは
あの場所に
置いていたから
還ったら、そおっと
拾いにいくよ。
ほら おとな から
こども になって
あかんぼう になって
かあさん へ還る、
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