夜の公園と七つ星/なかがわひろか
いつも行く公園で
ちょうど首を傾げた時に
北斗七星が一番きれいに見えるところに座って
近所から漏れる夫婦喧嘩の声を聞く
夜の中を
二人の声は
礼儀を知らぬ新入りのタクシー運転手のように
すり抜けて行く
空の大きな柄杓で
二人の頭をかち割ったら
どんなに気持ちがよいだろう
子どもたちも
嘆く前に
ぺしゃんこになった両親を見て
しばらく一緒に笑うだろう
いつもの公園で
そんな風に夫婦の声を聞きながら
私は一人
そっと微笑む
(「夜の公園と七つ星」)
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