うつくしい朝/瓜田タカヤ
 

 死にたくなくて動こうとしたが
やばがってる俺に気づき蹴り入れてきたり
借金のかたにとってきたゴルフクラブで
打ちつけられたりした
 その度に俺は2メートル3メートルと
遠い床まで血のマーキングを施した
もう身長が30センチくらいにまでなって
床に寝転がった

 肩で息する彼女がしゃがみ込み
何か言っていた

 遠いどこかの事務所で
ヤクザの上腕筋の汗を拭う
母の乳房とハンカチーフ
 原始の匂いを嗅ぎ
浅はかな欲望を無に帰す儀式を所有する

 闇は宇宙の何処かではなく
幾つもの濡れた弾痕を印すささくれた肉の内部や
奇妙な圧迫感を配置する盛り場の劇場にある
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