大きなノッポの樹乃下day/影山影司
 
 医者の下唇と鼻がにゅいとくっついて、僕の下っ腹を突っついた。
 円錐状の嘴、それはどうやら聴診器らしい。ストレスによって僕の胃がキュルルルと鳴き医者がげふりと笑う。「うるせぇ笑うな」と心の中でうっかり呟いたら、医者は察して「失敬失敬」と聴診器を慌ただしく動かした。

 虚乳をカルテで押しつぶしたナース。の乳房は白衣より白い。病的に白い病室の中で、僕だけが黒尽くめの格好をしていた。なにせ学生服だ。喪服にも使える高機能スーツ。だけど、僕は、ここ数年、学校へ、行ってない。
 ボタンを開いた学生服の下のたくし上げたアンダーシャツの下のたくましい黒人肌。何もかもが黒黒黒。
「先生、先生の肌はどう
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