旅人/霜天
回らない風車を地図に向けてみても
夕凪にバスは来なかった
型通りの挨拶が一通り続いた後で
輪郭だけを残して帰っていく
人、たち
まだ捨てる場所があるということは
まだ軽くなれる僕らがいるということで
大きな川があり
大きな道があった
国道は国道の顔をして
みんながその上を漕ぎ出していく
明日は休日だから、と
君には言い聞かせて
取り残されてみる、ことにして
大き目のソファを買ってきて
その上に寝転んで
東雲はどこに行ったのか
あの時飛んでいた飛行機は
着地点を見つけられないまま
折り返してどこかへと、消えていった
今度は迷わずに行けるだろうか
また捨てるものを見つけて
軽くなりながら僕らは
地図の上にバスを
ただ待ち続けている
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