「焼き鳥『しげ』」/ゆいしずと
作為的な空き地の周りに
張り巡らされた高いフェンス。
荒涼感を誤魔化そうとするように
洒落た街並みを描いた大きな看板。
通りに並ぶスナックやら寿司屋やらは
口を板で打ち付けられ、沈黙する。
十数年をかけて、
街は生まれ変わるのだという
防災のためであり
住環境向上のためだという
この、赤土のむき出した場所には
つい、ほんの数ヶ月前まで
いい具合に枯れた、赤提灯があって
その油焼けしたカウンターには
いつも見かける顔たちと一緒に
置物のように、汚い猫が寝ていた。
都市計画の名の下に、
整然と区画されたオフィスやマンション。
いずれ行き交う見知らぬ顔たち
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