それは母の読むおはなしのように/朝原 凪人
ヒトのあかちゃんはね
うまれてくるときに
りょうてをにぎりしめて
うまれてくるのよ
ぎゅ〜って
それはもう
すごいちからで
それはね
このせかいにうまれてきた
じぶんなかにある
ユメやキボウやカノウセイを
にがさないように
いっしょうけんめいに
つかまえてるからなの
でもね
ヒトは
りょうてをにぎったままでは
いきていけないの
ひとりでたてるようになるために
ベッドのあしをつかんで
ごはんをたべるために
おはしをつかんで
おべんきょうをするために
えんぴつをつかんで
あいするだれかといるため
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