ヒューム「ベルグソンの芸術論」(3)/藤原 実
 
のほど、より意味の深いものである」

「主観主義者の観照は、常に感情と共に働き、感情の中に融化しており、主観と分離して考えられないところの、情趣の温かいものである。これに反してレアリズムの客観主義者は、智慧の透明さを感覚しつつ、観照を意識しつつ観照している。故に彼等は、それの透明を暈らすところの、すべての主観的なもの、情感的なものを追い出してしまう。彼等はアリストテレス的没主観の認識で、事物の本相に深く透入しようと考えている」

「どんな観照に徹した写実主義の文学すら、その真理の深さに於て、感傷的なる恋愛詩の一篇にすら及ばないのだ。故に賢人パスカルはこれを言った。曰く、感情は理智の知らない
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