夢は僕を救わない/松本 卓也
時間が解決してくれる、なんて
分ったように口にしてみても
わだかまりが心に降り積もって
いつも同じ映像を追いかけるだけ
夢になどもう出て来やしない
昨夜は世界から見捨てられたし
一昨日は親友と思っていた奴から
冷たくあしらわれたのだから
眠ってやり過ごそうとしたのに
夜からも逃れられないで
何処に行けばいいのかと言う問いは
欠けた月明かりよりずっと頼りない
道標の無い一本道の向こうから
太陽が昇ってくるのだろうかと
目を細めて見ていたら
いつの間にか帳が下りて
嘆くでもなく悲しむでもなく
ただ溜息をつくばかり
苦肉の策はもう尽きた
目覚めるより他に術は無い
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