内なるものへ/吉岡ペペロ
 
ロダンの作品にはエロチシズムがない

クリムトとはそこが違う

彼の作品には

恍惚を浮かべる人物の造型がない

内なるものを見つめる精神性しかそこにはない

異様にでかい手や足

ベタベタとぬったくった彼の指あと

ヘタウマというプロセス

彼はそこを通ることでしか

晩年のローマ芸術的清澄性に

行き着くことができなかったのである


あらゆる芸術は

宇宙の法則を説き明かそうとする精神の運動だ

神という絶対的存在が

自己の外部にしか存在しない宗教をもつ彼にとって

精神の運動とは

届かぬ苛烈さを生まずにはおれないものだった


ロダンの作品にはエロチシズムがない

クリムトとはそこが違う

彼の作品には

恍惚を浮かべる人物の造型がない

内なるものを見つめる精神性しかそこにはない

異様にでかい手や足

ベタベタとぬったくった彼の指あと

ヘタウマというプロセス

彼はそこを通ることでしか

晩年のローマ芸術的清澄性に

行き着くことができなかったのである
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