祝婚歌/快晴
ある晩、仕事から家に帰ると
両親と姉が深刻な声で何かを話し込んでいる
姉が仕事でも辞めるのかと思い
ブーンと低く唸る冷蔵庫にもたれて
自分がそれと同化してしまわないように
こっそり話しを聞いていた
「向こうの親は名古屋に住んでいて…」
どうやら姉は結婚相手の相談をしているらしい
私は少々驚きながらも
盗み聞きも良くないなと思い
ぬるい麦茶を持って部屋に上がった
スーツを脱ぎ捨て煙草をふかす
小学生の頃のあれは夏だったろうか
姉と一緒に出かけた私は
「実は好きな子がいるんだよね」と告げた
姉は「ふーん」と無関心を気取っていた
それから姉に恋愛の話をしたことはな
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