キャリア/有扉なぎさ
照れた時に
鼻の下を ひとさし指で拭う癖があって
今でもよくやってしまうのだけど
もう そばにはいないあのひとのことを
どうしても思い出してしまう
からかい口調で
だけど 愛しげな眼差しで
ことあるごとに指摘してきた あのひとの顔が
胸の中に切なくよぎる
「好きだよ」
時は過ぎて
あたらしい恋人に 言われた時も
やっぱり無意識で 鼻の下を拭っていて
そんな時にも ふと あのひとのことを思い出した
今はもう 幸せなのだけれども
ほんの少し 切ない気持ちに襲われる
ここにはもう いないけれども
あのひとが そばで笑ってる気がして
私には
照れた時に
ひとさし指で 鼻の下を拭う癖があって
今でもよくやってしまうのだけれども
その癖に
あたらしい恋人は まだ気づいていない
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