シ産/カンチェルスキス
転 死を現状維持し
色褪せて温度が消える 死を現状維持
ただの空洞の 死を現状維持
家族連れのガキの蹴ったサッカーボールが弾み柵の下に転がった新世紀まで残る穴のような影を彫って
上空をヘリコプターが飛びジェットコースターがレールの頂上でコップの表面張力みたいに
飽和し
破れ急傾斜し
一度は持ちこたえたけど耐え切れなくなって全員一斉に何の意思も反映しないそれが声なのか物質なのか記録なのかわからない音としては成立し発芽するように産まれようとする
退屈な先鋭的に退屈な死の現状維持
ざ あ
というひどく曖昧なとりとめのないひとまとまりの音が
おれの片耳の先にちらり触れただけで
(何万回目か数えるのも飽きた)
シ産した。
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