シ産/カンチェルスキス
 






 ここがいいと思っておれは座る木の下で影になった青白いベンチ
 ヤクルトの女が自転車を停めて自動販売機で水分補給ドリンクを取り出し口から
 取り出す黒のソックス膝の裏の白い肉が一瞬割れて消えるそれから自転車をまたいで
サドルに座って汗を掻いてるからハンカチで拭いてペットボトルをふた口飲むと唇は十分に濡れて鏡で化粧を直す直らない直そうと思っても直らないペダルに足をかけると
漏れでるような怠惰を押し隠しおれの前を通り過ぎたおれの隣では
 ゲーム機の画面に熱中してるガキにその隣に座ったカバーのついた文庫本を読んでる
 中年女が坊やそれって色がついてるの光るの眼疲れない
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