穏やかな夕暮れ/たもつ
駅のホーム
喫煙コーナーのベンチ、夕暮れでは少女が
メールを打つ少女
メールを打っている
少女はメールを打つ
指、その速度の指で
穏やかな夕暮れ、穏やかな煙
少女よ、今、僕はカフェにいる、オープンカフェ
この季節、ホームには色とりどりの列車がやってくる
そのすべてに乗ることもせず
少女はメールを打つ
メールを打つ少女
僕は今、昭和基地で起点と終点の距離を測量しているよ
もしかしたらそれは僕のとんだ勘違いかもしれないが
さて、少女である
メールを打つ少女
少女はメールを打っている
その少し開いた唇の端から次々と記号はこぼれだして
世界の隙間という隙間を
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