潜在している夏/深雪
木漏れ日が邪魔をして普通に歩けない
琥珀色に変化した涙が
長い月日を経てここに落ちてくるようで 立ち止まる
ずっと願っていた声を
じかに聞いてみたくなって電話をかける
何にも変わらないね
大人になったって何年経ったっていつまでも私
少し前までは
水を含んだように青い陽が新しい風に揺れていた
あなたと再び会うまでは
光の中の水分量
今なら上手く計れる気がする
乾ききらないうちに手を握る
変わらないあなたと 置き去りにした夏を直してみたい
そんなことを可能にした私たちの縁
あなたといると
ブラックホールのような孤独を識るけれど
彷徨う私を導くように深い海を与えてくれる
過ちなんて何も無いから
私はそこに流れていく
ひどく疲れているのに自由
在るようでない もうひとりの自分がいる
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