ニュートラル/八布
一日のどこを切り取っても
水と緑の匂いがするような
素肌の季節がやってきた
僕はその真ん中で
体を風景に溶かしながら
それでも真っ直ぐ立っている
色々な細部や残像が
目の前を通り過ぎていく
影と影の線が溶け合う様子や
赤い帽子を被ったこどもの背中
放物線を描いて飛んでいく靴や
破れたノートの一ページ
こんな晴れの日には 血管だって明るくなる
爪の先から
初夏色に染まっていく
いったりきたり いったりきたり
止まることのない日々の営み
無造作なやりとりで
心の玉が回り出す
戻る 編 削 Point(4)