故郷の回想/はじめ
 
にか甲羅に7つの星の模様が付いている 君が逃がした僕とのデートの縁日で買った金魚も死ぬ時間を引き延ばしてもらって(寿命を延ばしてもらって) たくさんいる(僕とお金持ちの家の庭から盗んだ鯉一対が子供を増やして沢山泳いでいる) その他諸々僕達が束縛されたオリエンテート社会から持ち込んだ生き物達(破れて捨てられていた鯉幟も君が縫い直して優雅に泳ぎ回っている)が湖の中で生きている
 僕達はその賑やかな様子を見て大笑いしながら 湖面に映った満天に限りなく近い透き通った夜空を見て黙って心が穏やかになる そして僕達はその上にある素晴らしいものを眺める 僕と君の繋がった手はいつしか固く結ばり 二つの口から感嘆の溜め息を吐く 僕達はこの故郷の全て そしてこの夜空が大好きだ 月の上から 宇宙の向こう側から その果てから僕達を眺めている きっとそれは永遠に匹敵するぐらい素敵なものだろう
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