リモートクリティック/新宮栞
 
みしくは ない
        海は ちじこまってい
        た 海は必要ない ま
        だ 北へいこう なぜ
        かは わかりたくない 

   釧路湿原でタンチョウをみたとき、双
眼鏡越しの頭の赤さは 怪我してるみたいで
細い首を重たげに垂れる一羽に 何か 名前
を彼はつけた
   赤 黒 白 青 でセカイはできてい
たことがあった それはトトロの森のことか
もしれない
   青は 白と黒の間の色です 青の世と
はあの世のことです 沖縄では 隣の無人島
を墓場にむかし していました 
 少年は手をのばした 本棚が 小さい
 気をつけして 
 完璧な 言葉が 死にたがっている
 正しい口語の 不自由な言葉が
 水藻の合間で 並んだ
 無秩序を睨み返していく
 少年は手をのばした空気が 逆立ちして
 完璧な高さが
 少年少女 が
 一人のように
 見上げている



















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