リモートクリティック/新宮栞
みしくは ない
海は ちじこまってい
た 海は必要ない ま
だ 北へいこう なぜ
かは わかりたくない
釧路湿原でタンチョウをみたとき、双
眼鏡越しの頭の赤さは 怪我してるみたいで
細い首を重たげに垂れる一羽に 何か 名前
を彼はつけた
赤 黒 白 青 でセカイはできてい
たことがあった それはトトロの森のことか
もしれない
青は 白と黒の間の色です 青の世と
はあの世のことです 沖縄では 隣の無人島
を墓場にむかし していました
少年は手をのばした 本棚が 小さい
気をつけして
完璧な 言葉が 死にたがっている
正しい口語の 不自由な言葉が
水藻の合間で 並んだ
無秩序を睨み返していく
少年は手をのばした空気が 逆立ちして
完璧な高さが
少年少女 が
一人のように
見上げている
戻る 編 削 Point(11)