ロマンチスト/深雪
 
「海の中にいるみたいだね」って
会話が詩のようになる
あなたといるといつもこんな感じ

虹色の陽がさざなみのように揺れて
潮風に似た初夏の風が
午後の部屋を通り抜ける

乾き始めた髪に手をやると
あなたは不意に瞳を反らす

そんな狡猾さも含めて愛しいと思う

私の前では急に無口になる
あなたは観賞魚の専門家
教えてくれたいくつかの魚の名前
私は一体どの魚に似てる?

あなたの海の中でいつか
上手に泳いでみたいから

静かに始めたこの恋に
何よりも愛らしい名前をつけて欲しい








戻る   Point(5)