次は/ねなぎ
犬が逃げた
十年も
飼っていた犬
気を許した
そのすきに
古くなった
鎖を引きずり
逃げていった
友達が家を出た
地元に残る
約束をしてた
家出を繰り返した
僕と違って
真面目な奴だった
何もかも関係なく
振り返らず
蹴飛ばして
走っていく
夢見るような
追うような目
そこには廻りは
映ってない
久々の
友達からの電話は
勧誘の電話だった
新しい飼主が決まり
必死だった
犬はそれっきり
戻ってこない
探したけれど
見つからなかった
もう戻ってはこないだろうに
空の犬小屋が
今でも残る
次の犬を探す両親
電話で泣いてた
友達の母親
諦めたと言う
友達
逃げていく犬が
どこまでも
走っていく姿を
思い浮かべる
僕は部屋を
めちゃめちゃにした
誰も住めないように
鎖がゆるくなった
だから
僕は明日
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