鳥かご/土田
 
々をこねたりもしないし、ひたすら天井に向って、やっぱりひとり言のように話し続けるんだ。そして、そのあとに必ずののちゃんは、いつの間にか寝てしまったぼくにちょっとだけ長いキスをするんだ。そのキスにぼくが気づくと、ぼくたちはいつもエッチするんだ。いつからかこうなったのかは、ぼくにも、そしてののちゃんにも多分分らないけど、いつからかこうなったんだ。そして、こっそり本音を言うと、ののちゃんにキスをされて起きたけど、寝たふりをしたことが実は五回くらいあるんだ。でも必ず、寝たふりをした次の日、ぼくが学校に行く準備をしていると、「最近疲れてるの?」ってにやにやしながら、ののちゃんが布団から顔だけ出して言うんだ。ただそれだけなんだ。ぼくらの毎日なんてただそれだけで生きている気がぼくはしていたんだ。
 十七時、「ギィーバッタンッ」って言いながら帰ってくるとののちゃんはまだ鳥かごのなかの鳥に問いかけていたんだ
 「言ってごらん」
 「ほら、言ってごらん」
 「自由はここにはないよ」
 「うん、知ってる、そういうことじゃなくて」
 ぴよっ、とその鳥がぼくらのまえで初めて鳴いたんだ。
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