湖畔の洋館/はじめ
 
 霧の湖の畔に見える建物 あそこまで歩くのにはかなり遠い この丘には休憩所がある あそこには洋館風のホテルが立っている この建物の展望台に備え付けられた無料の双眼鏡で見ることができる
 僕はなだらかな丘を下って 再び森の中に入って行く 濃密な霧が初夏の葉の色付いた森を完全に浸らせている 吐く息が白くなり 服の内側が湿っぽくなってくる 僕以外にあの洋館のホテルに行く者はいない 僕はホテルのオーナーに話があってここに来たのだ 君の父親であるオーナーに 君をもらう為に
 道脇にあった小岩に腰掛けて休憩をする 霧がかかっているとはいえ 森の中の空気はおいしい 茶と白の大小の野兎2匹が反対側の道の脇にい
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