六月の雨/奥津 強
 
俺達は、姦淫殺しを試してみた。始終、見えぬ土地の中に埋められた白痴の子を殺すのだ。案外、憧憬にも似た感覚のままで、そこにいた尼僧は、お経を唱えては、子達のゆらゆらと映る様に、又、黒い喪服の列が、ひしひしと歩いてくる。俺達は、先日、泣いて帰った幽霊の話をした。常に、世間話が出来ないから、尼僧は、ただ意味もなく、雨に打たれている。喪服の列は、仕事に出るらしい。

早朝が 来る前に
眼前と 対峙せよ
それは 職業だ
青々しい 空から
ここは 日本だ
と 認識する前に
青い 喪服の列を
参拝せよ
仕事は 僧侶か
葬式しかないのだ


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