愛のない便り/板谷みきょう
 

ずるいよ
君から去ったくせに。
あの頃から少しは大人になれたはずだったのに。
出口が見えない迷路の中で、夜の街角に怯えてる天使達。

本当は
「今でも愛してる。」なんて
言っちゃいけなかったんだ。

君の頬冷たいよ。
君はソレには、気付かない。

めまぐるしく変わって来た時代の交差点で、ボク達は運命に出逢った。
「今夜は無理よ。」と言いながら、ボクに抱かれて君は肉体をすくませた。


愛のない便りが届く。


銀色の月の下で
かき消せない傷を
胸に
切なくて告白した。



愛のない便りが届く。



涙流すのも悪くないものよね

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