*五感する*/かおる
さくら色の雨が降ると真っ逆さまに春になる
鼻孔をくすぐるみどりの息吹、お腹いっぱい吸う
するとくしゃみ百連発で花粉症勃発
マスクサングラスの完全防備
裸ん坊で日光浴は皮膚癌を恐れて止められる始末
これじゃ五感も退化しそう
それでも春霞と見紛う黄砂が吹くと
ざらざらと遠くタクラマカンの肌触り
月の砂漠をはるばると駱駝に乗りたい気分
未だ第六感とでも言うのでしょうか、
夢見る夢子は元気です
ざわざわと樹々を揺らす風のうたを聴きながら
(魚は簡単に三枚におろせなくても
(日本の台所の流通は世界規模で
(季節の走りを簡単に口まで運んでくれる
春は黄色でとろんとろん
夏は燦々と火傷しそうなおひさま色
秋は渋柿色でちょっと酸っぱくて
冬は枯れ果てた色に塗りつぶされても
季節は大船に乗って
まな板の鯉よろしく簡単に食されていく
えぇ、柔らかい語感で(どうぞ)
季節がいつの間にか互換していたとしても
五感しちゃわなきゃ損てなもんでしょう
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