ある独身サラリーマンの土曜日の朝/はじめ
僕は冬の1月の5時31分にベッドに倒れ込んだ
朝までカラオケはきつい 更に酒まで入ると
始発の電車に乗ってようやくマンションに着く 真っ暗な空からはべた雪が降ってきた 髪に付いた雪が溶けて額から鼻の傍を通って口元に流れてくる
僕は仰向けに寝転がり 灰色のマフラーと黒いコートを下に投げ捨てた
不思議なことに酒の酔いが醒めている 逆立てたワックスの匂いが漂ってきて 僕は天井を見上げていた いつも気にしていないせいか天井の壁が珍しく見え 疲れた目の抱擁になる しばらくずっと見つめてから 僕はシャワーを浴びることを思いつく ワックスをつけた状態でベッドに横になるのはとても不快なのだ
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