寝たきりの言葉。/atsuchan69
もうすぐ、生暖かい夜が
苦いクスリとともに
グラスに注いだ水と一緒に
――やって来るョ。
窓の外は今しも
オレンジの火炎に包まれ、
妖しい空へと
黒煙を立ちのぼらせては
昨日までの世界、
無邪気で陽気な世界が
またひとつ消える。
交差する暗い時代、
矢継ぎばやに黙示録の騎士たちが
大地を幻のように翔けてゆく
大丈夫さ。
君はどうせ寝たきりだし
僕なら日々はたらいて糧を得る
断じて、言葉などには惑わされないから。
苦し紛れに、詩のひとつでも吟じてくれ
けして涙など流したりはしないけれど
二号棟では、
髪のない女が春の歓びをうたい
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