深淵の森へ/はじめ
 
薬を頂戴よ」
 神様は笑って 僕の掌に錠剤を渡した 僕と君は大量の錠剤を口に含んで透明度の高い湖の水を飲んだ そして2人抱き合って横になった

 猛烈な眠気が全身を刺激して目を覚ますと 君は眠っているかのように死んでいた 僕は眠気で頭がクラクラになりながら君の体を揺さぶってみた しかし反応は全く無かった 僕は泣いた この森を包む暗闇が僕達に黒いカーテンを降ろした 僕は神に死ぬことを許されていなかった
 スイッチを止めて イヤホンを外す 現実の静寂が過去の記憶を飲み込んだ
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