魚売り/板谷みきょう
 
く考え込むが、地面の魚を発見)
アレ!あっちに落ちてるの、魚じゃないの?
(地面の魚の目線を進めて)
あっ、あそこにも、あんな所にも、何、その先に有るのは家じゃないの
(初めて民家を見付けて納得)
おやまあ、成程。魚を盗ったのは人間だ…。泥棒め、どこに居る。
(キョロキョロと辺りを見回し慌てて家の場所へ)
あれ、家ン中は空っぽだ。さては、どこかへ隠れやがったな。
(辺りを慌てて右往左往し立ち止まり)
泥棒め、魚泥棒。どこへ隠れた。今すぐ出て来い。出て来ないとただじゃ済まないぞ。
泥棒、どこだ。どこに隠れていやがる。
(辺りを右往左往し立ち止まりナレーションの台詞へ)
と云った、若くて正直な魚売りも、年月が流れると共に、歳を取って行くのでございます。

(後ろに用意してあった翁の面を被り着物を脱ぎ、黒の上下の姿。
【イーハートーボの様なゆるやかな曲】を流し、老人の動きにも似た当て振りの舞踏へ)
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