海の底/今田コボ
 

深い青色をした海が
少しずつ近づいてくる
わたしだけでは
とても耐えられない
そんな場所で
あの人は毎日
立ちつくしている

冷たい手のひら
からめた指がふるえる
見つめると
消えてしまいそうで
そっと瞼をとじた

耳の奥で鳴り続ける高音
海に
さらわれてしまいそう

どこかに流れていってしまった
あの人の事を
わたしは忘れられない
大きく穴をあけた海が
わたしを呼んでいる
わたし、もういかなくてはならない
(さようなら)
(さようなら)
今、あの人のもとへ
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