缶/葉leaf
美しい
母親が洗濯物を干している
僕は障子越しに些細な出来事を話す
障子は
自分が存在していることを忘れているから
声や光を通すことができるのだ
だから啓蒙された障子など要らない
絨毯は何も支えてなどいない
むしろ絨毯に載っているものによって
上から支えられているのだ
絨毯は本当に平坦なのか不安になって
炬燵や座布団やスピーカーに邪魔されながら
目で絨毯をくまなく観察する
だがそれでもまだ不安で
実際に手で触ってみる
やっぱりでこぼこしていたよ
そのでこぼこに
哲学やら文学やらしかつめらしいものを
当てはめてみたら
案外ぴったり当てはまった
一円玉は
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