「 隣人。 」/
PULL.
は、
隣人のあの元気が、
何とも羨ましい限りなのである。
月の暗い夜にでも一度。
満天の星を仰ぎつつ、
一献傾け、
その秘訣を伺いたいものだ。
わたしが二十歳でここに埋葬されてから、
もうかれこれ二百年になるが、
一度もこの棺の外に、
出たことも出されたこともない。
なのに、
新入りの隣人ばかりが、
満月の夜毎に棺を抜け出し、
街を出歩いている。
誠に昨今の夜の中は、
不公平である。
了。
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