髭剃り いろんな人間の平日/ねろ
水底にそっと触れると感情線が走っていて
僕の過去は沈むたびに息継ぎをしている
腫瘍のような実を実らせてる昼間の空気
(そうですか、から会話は始まって)
何も無いという事を研究している彼女は黙って
俯いたまま何も喋れなくなっている
(ふるうことばは境界線を抜けて僕の
掌の形をかたどっていく)
そうですかで終わりなんか来ないって事
まるで僕は昨日初めて聞いたように
(僕は実際そのひとことで終わりが来ると思っていた)
塗り替えられる世界の音も知らずに引きずられていく
音楽は血液の流れみたいに耳の奥から突き抜けてくる
息苦しくなると空を見る、触
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