雨の日の願い/今田コボ
 

あなたの名前は
この悲しみに似ている
木霊になって消えていく声を
遠く向こうに感じた
その冷たさ透明さが
あなたなのだと思う

繋がらない海と雨とが
真夜中にせめぎ合う
ざわめく雨たちの歌い声が
長い間わたしを掻き回した

はじまりは遠い昔
海が広がり乾いてしまっても
次の日には戻っていた
雨もまたわたしを責めては
笑いとばして
なにもなかったように
日々を通り過ぎる

何もかもを奥にやって
呟く雨たち雨の歌を
静かにひとりで聞くのは
罪なのでしょうか
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