夜と眠り/hon
 
円筒世界の歩幅を
定礎を割る両足を
暫定する夜の橋梁を
凍える秒針を
いつぞや清澄な呼び声に
言葉たちは微笑を得る
ただ暖かな電球の列を
内側の丘陵から灯して
傘だけが望ましい
針葉樹だけが望ましい
冒頭の手鏡
あらゆる媚薬を信じたい
行為は目にも映るから
眠りは静かな歌


***

夜の橋梁は
秒針の眠り
望ましい針葉樹
言葉たちの両足
電球の呼び声
清澄に灯して
信じうる定礎を割る
静かな歌の傘
目に映る丘陵
手鏡の内側
媚薬の暖かさ
円筒世界の歩幅
微笑の暫定
行為は凍える
戻る   Point(1)