夢と君とさよならの話/soft_machine
 
きみは放心したようにぽんと崖から飛び降り
やがてま白い翼で羽撃く
滑空しながら捕まえた風の端をひとつ打って
あっと言う間に成層圏を越えていった
取り残されたぼくは
きみがそんな行動をとると思えなかったから
(あたりまえだ)
その時きみがどんな顔だったのか
(あたりまえだろう)
知っておこうとも思わなかった

綿毛ひとつ残さないで
一瞬できみがほんとうに存在したのか
これまでの人生、悪い夢に変えられた気分
ぼくはゆっくりと時間を掛けて
残りのラムを瓶から腹に移した
フロントガラスから見下ろす街の声に耳を澄ませても
何も聞こえないので
まだ残照の残る空に向けて懐中電灯を点滅させた
またたく星々の返事は人間のものと大差なく
それにも退屈した頃
さよならも言わずに去った
君の贔屓のチームはサヨナラ負けを喫した





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