ぼくの地平/村木正成
 
雨の日に
美術館の裸婦像は
艶やかに
やがて本当の姿を見せるだろう

ぼくも同じだ
ぼくの想いは風に乗り
雲と流れて地球儀の裏側の
ひとつの地平となるだろう
暖められた卵のように
それは希望で満ちている

晴れの日に
丘から見下ろす向日葵は
悠然と
すべてのものを許すだろう

ぼくも同じだ
ぼくの思考は海に着き
波にながれて地球儀の外側の
ひとつの銀河となるだろう
地下鉄の壁に書かれた詩のように
それは誰かを待っている

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