永遠と一日/
有邑空玖
陽差しばかりが強くて
風はまだ夏になりきれない
空も海も青に染まって
じっとその時を待っているのに
蝉時雨に掻き消されて
君の声が聞こえなくなる
「明日の時の長さは?」
スカイラインの窓越しに美しい空
思い出せない雲の名前
風は潮の匂いを運んで
いつまでも記憶から消えないまま
永遠に連なる一日を過ごしている
「明日の時の長さは?」
君が笑う
「永遠と一日」
テオ・アンゲロプロス監督「永遠と一日」より
初出:鳥かご朗読会にて朗読
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