永遠と一日/有邑空玖
 


陽差しばかりが強くて
風はまだ夏になりきれない
空も海も青に染まって
じっとその時を待っているのに


 蝉時雨に掻き消されて
 君の声が聞こえなくなる
 「明日の時の長さは?」


スカイラインの窓越しに美しい空
思い出せない雲の名前
風は潮の匂いを運んで
いつまでも記憶から消えないまま
永遠に連なる一日を過ごしている


 「明日の時の長さは?」
 君が笑う
 「永遠と一日」







            
テオ・アンゲロプロス監督「永遠と一日」より
            初出:鳥かご朗読会にて朗読
  
戻る   Point(7)