永遠と一日/有邑空玖
 


「明日の時の長さは?」


風を切って走る
スカイラインの窓越しに見えた
雲の名前が思い出せない


春の終わり
もしくは
夏の始まり
駆け足で過ぎていく短い季節に
朝早く家を出て
9号線を北上する
歌うように上げていくスピード
流れる景色に気を取られながら
海を目指す


 ソーダ水の泡が弾けている
 蝉の声が耳の奥で谺する
 あの夏は本当に暑くて
 たぶん夢だったんだと思う


見慣れた港町の
色褪せた看板
開店休業状態の金物屋で
錆びた螺子を分けて貰う
がらくたばかりだ、
と云ってきっと君は笑うだろう
胸が痛いよ


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