土曜日9時48分の庭/はじめ
 
どっちでもないのか その両方なのか 僕には全く分からない
 でも一つだけ確かなことは この空間に僕は閉じこめられてしまったということだ 助けを呼んでも誰も来てくれないし 誰も来てはくれない 自分の望んだ世界だったのだ それが今さら拒否してもどうにもならない 後戻りはできない 僕は恐怖に満たされていった 小雨が再び降ってきた 僕は見えない先まで走っていった するとすぐに元の場所に戻ってきた 僕は家の中に飛び込んで母やピアノを弾いている妹の姿を探した しかし1?たりとも動かずにピタッ と止まっている 絶望が頭を突き抜けた 僕は庭へ飛び出して平安に体が沈んでいくのを見た 僕は必死に足掻いてみたがどんどん飲み込まれていく 僕は死にたくないのに 死を平安が優しくくるみ込んで僕を落ち着かせる 僕は何故バタバタしていたのか自分でも不思議がる やがて完全に飲み込まれると体は沈んでいき胸をひどく痛いものが突き抜けた 僕はにっこりと笑ってそのまま意識を失っていった 庭に転がっているコーラから一泡ぶくっ と泡が浮き上がってきた
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