にびいろの声紋(五)/
信天翁
アベニューにみどりのかげが溢れだし
タンポポも路肩で微笑みはじめた
というのに
精の分身に水晶の輝きが見られない
神の化身に清流のせせらぎも
眺められない
★
油の切れた時計は歯車やゼンマイが
ギシギシしているように
あゝ やっこさんの四次元は
どろどろになっている
有情へのいとおしさと
無情へのうとましさとを
雑炊にして
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