新川和江 ??〈永遠〉を志向する大きさ/岡部淳太郎
 
 何故だかわからないが、女性詩人の詩を取り上げて論じることに妙な躊躇があった。もちろん女性の書く詩が、男性の詩よりも劣っているなどと思っていたわけではない。優れた女性詩人は多く存在する。一読者として好きな詩人も多い。それにもかかわらず、何故か女性詩人について語ってこなかった。僕自身が男性であるために、遠慮みたいなものがあったのだろうか。あったとしても、その遠慮はどこから来るものだったのだろうか。今回初めて本格的に女性詩人を取り上げるに当たりいろいろ考えてみたが、どうにもわからない。とりあえず、わからないなりに筆を先に進めよう。
 新川和江が日本現代詩に残した足跡は大きい。戦後詩が最初に大きな結実
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