煩悩/はじめ
 
魔は人間の甘い煩悩に誘われてやって来るのである 僕はお経を唱えて悪魔に対抗しようとした しかし苦しさのあまり座禅を崩し 倒れてしまった 悪魔の囁きに耐えきれず多くの煩悩を引き戻してしまった 悪魔は声高らかに笑い 僕の蜜をたっぷりと吸って源泉を破壊して僕の心を愛の煩悩で満たし去っていってしまった
 もう僕には阿羅漢になる為の力が残されていなく死にかけていた時 暖かく優しい声が聞こえてきた 「私は釈迦です。あなたの努力をずっと、無余依涅槃から見ていました。もう少しです。もう少しであなたは涅槃へ辿り着けます。そしてあなたの愛する人に出会えます。さぁ、勇気を振り絞って、最後の煩悩を掻き消すのです」 僕は座禅を組み直し 最後の煩悩を断ち切った すると目の前が眩い光に包まれて僕は阿羅漢になり無余依涅槃に辿り着くことができた 僕は意識の赴くままに何処までも何処までも突き進んでいった
 気が付くと僕は君の元にいた 僕と君は一体になり光が増幅してこの世界を照らし出していた
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