愛野讃歌/佐々宝砂
出などが映ったりもするわけで
愛野駅前でわたくしは
あなたを何度待ったことだろう
愛野駅は
歴史もろくにない
駅前にコンビニがどうにかあるだけの
行政が自分たちの都合で都合つけて無理につくった
ちっぽけなつまんない駅ではあるが
どんなに否定しようとも
どれほどマイナスを強調しようとも
あなたがわたくしから離れてゆこうとも
いやたとえあなたがこの世から消えようとも
愛野駅がある限り
わたくしはあなたを忘れまい
ということはもしかしたらわたくしの愛の存続は
JRの営業努力にかかっているのかもしれないが
ともあれ愛野よ永遠であれ
笑いすぎて引き攣る頬に
愛野の、否、愛のくちづけを

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