侵緑/ねなぎ
 
光電子化された記憶が
増幅されているので
思い出す事も無い

その揺れて刈られた
芽吹きが
目に刺さるように
帯域を跳ね返して
辺り一面に広がって
囲まれて

眠れない距離
若しくは加速度

遠くなる夜に
笑う事も出来ずに
斜めに見えて
寒さに震える

媒体だけが歩いて
改竄されていくので
原型を留めない

睡眠の阻害の周期は
外乱が含まれ
雑音だらけの目には
世間が霞む

触媒の柔らかな
日差しは消去

剥離していくように
表層を眺めれば
長くなる日に
意識は薄くなる

圧縮された生命が
非可逆で展開されるように
薄まり
[次のページ]
戻る   Point(2)