空中分解/ツ
の記憶があいまいだ。
ただ、ついにその日は
ブラジャーを手にすることが出来なかった
ことだけは確かだ。
帰りの電車の中でとぼとぼと
何も掴めなかった両手がかなしい。
こんなにも貧弱な自分の精神がかなしい。
刻一刻と沈んでゆく
胸のポッチリがせつない。
明日もう一度チャレンジしてみるが
果たして俺は
あの吐き気を催すような異質な空間で
本当にブラを手にすることができるだろうか。
このままでは、結局、さっきの二の轍を踏むだけではあるまいか。
つか、もしほんとうに成功したところで
俺はほんとうのほんとうに取り返しのつかない
後戻り出来ない人間になってしまうのではあるま
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